令和7年度

⑤ 令和7年度決算第二特別委員会【国際技術協力】答弁

会議日:令和7年2月27日
( 決算第二特別委員会( 下水道河川局 ) )

 国際技術協力【マネジメント推進課】

しらい亮次

国際技術協力について伺います。

横浜市は、平成19年にハノイ市と横浜市の協力・友好関係の覚書を締結して以来、ハノイ市の水環境の改善に向け国際協力を行ってきました。

画像↓をご覧ください。

しらい亮次

私も現地でハノイ市中心部を流れるトーリック川や街中に点在する小さな水路が汚染され、異臭を放っている状態であることを確認してきました。この水環境の課題解決を大きく進展させるために、横浜水ビジネス協議会会員企業(市内企業)が受注し、整備したエンサ下水処理場を視察する機会を得ました。エンサ下水処理場は試運転が開始され、いよいよこの春に本格稼働するとのことで、ハノイ市の下水処理能力の大幅な向上に、大きな期待が寄せられていると思います

そこで改めて、横浜市がハノイ市の水環境課題解決に向けて取り組んできた実績について、マネジメント推進部長に伺います。

マネジメント推進部長

平成25年から10年間、JICA草の根技術協力事業として、下水処理場の効率的な運転マニュアル作成、汚泥の処理に関する知見の共有と提案、下水道台帳システム等、現地職員と協力して実施することで水環境の改善に貢献してきました。

また、この技術協力が契機となり、ハノイ市最大規模となるエンサ下水処理場建設などの大規模案件等を含め、横浜水ビジネス協議会会員企業による5社6件の事業化につながっています。

しらい亮次

一方で、現地ではまだまだ下水道施設の運転管理や、維持管理に対する技術不足、下水処理場の稼働に伴う汚泥の発生や、古くから存在する下水管の点検、補修等への対応などの課題があると伺っています。そのため、引き続きハノイ市の水環境改善に向け、横浜市として技術協力等の支援が必要と考えます。

そこで、 ハノイ市の水環境課題解決に向けた今後の取組について、局長に伺います。

局長

ハノイ市から、汚泥のリサイクル技術や下水道管の老朽化に伴う維持管理について様々な協力要請が寄せられています。今後とも横浜水ビジネス協議会会員企業と連携し、現地での試験的な技術導入や、パイロット事業の適合性を確認するなど、公民連携し取り組むことで、現地の水環境課題の解決、さらには会員企業の案件化につなげていきます。

しらい亮次

さて、横浜市はフィリピンのメトロセブでも下水道分野に関する技術協力を行っており、私も昨年5月にメトロセブを視察し、現地の水環境を直接見てまいりました。

画像↓をご覧ください。

しらい亮次

現地では下水道が全く整備されておらず、未処理のし尿が直接水路や海に流されている状況を確認してきました。リゾートとして世界的に有名なセブに対して、多くの日本人が持つイメージと現実のギャップに驚いたとともに、次世代に豊かな水環境を残すため、本市がどのようにこの状況に貢献できるか考えさせられました。これまでもメトロセブでの技術協力についての質問をしてきましたが、最近の進捗状況が気になるところです。

そこで、メトロセブにおける技術協力の進捗状況について、マネジメント推進部長に伺います。

マネジメント推進部長

本市が提案することで事業化したJICA無償資金協力による汚泥処理施設の整備は、建設予定地における造成工事もほぼ完了し、JICAによる整備工事の発注に向けた準備が進められています。また、JICA技術プロジェクトによる下水道マスタープラン策定支援は、昨年11月に現地で開催された、セブ市長等の関係者が参加する合同調整会議に出席し、本市職員がJICA短期専門家として、3年間事業に参画することを表明しました。

しらい亮次

引き続きこのような技術協力の取組を進めて頂きたいと思います。一方、ハノイで行われているような横浜水ビジネス協議会会員企業が関わる案件が、メトロセブにおいては現段階で具体的に見られていません。是非、この技術協力を契機に横浜水ビジネス協議会会員企業が携われる機会を創出することが大変重要だと思います。

そこで、メトロセブにおける横浜水ビジネス協議会会員企業の案件形成支援について、どのように取り組んでいくのか局長に伺います。

局長

3年間にわたる現地関係者と連携した下水道マスタープランの策定を通じ、横浜水ビジネス協議会会員企業が有する高度処理、再生水利用、汚泥リサイクル等の技術の案件化を目指します。さらに初めての取組として、3月にフィリピンで開催される国際展示会に会員企業と共同出展し、本市の取組や会員企業の技術を積極的にPRする等、新たな案件形成につなげていきます。

しらい亮次

水道の普及が概ね整ってきたアジア圏において、下水道分野では今後、課題が複雑化するとともに多様な要望が新興国都市から寄せられてくると思います。しかし課題解決に向けて現地機関に寄り添い取り組むことは、横浜市のプレゼンスの向上に寄与するだけでなく、横浜水ビジネス協議会会員企業のさらなる案件形成にもつながることだと思います。

そこで、今後の下水道事業における国際技術協力の方向性について、局長に伺います。

局長

これまでの本市の技術協力による現地での成果が高く評価され、ベトナム国から国土交通省を通じて、大都市部だけでなく地方部への支援依頼が本市に来ています。引続きJICA等の資金支援制度を積極的に導入することや、横浜水ビジネス協議会会員企業の技術をパッケージ化して案件形成を進めるなど、現地のニーズに沿った幅広い技術協力を推進していきます。

しらい亮次

最近の下水道事業を取り巻く課題に多くのリソースを割かなければならない中でも、国際協力を続けていくことは、横浜が選ばれる都市であるために極めて重要な意味を持つことだと私は考えています。アジア圏でのビジネスは、日本の常識ではうまくいかないことも多々あります。国同士ではうまくいかないところを、横浜市が水先案内人になり事業を牽引する姿を拝見し、これはもはや外交レベルの功績だと思いました。日本を代表する下水道技術とその経験を活かし、引き続き誇りを持って下水道の国際技術協力に取り組んでいただくことを要望して、質問を終わります。

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