判断の基準は市民か、支援者か、時間稼ぎが議会と市民にツケを回す
はじめに
第三者調査委員会により「看過できない重大なパワハラ行為があった」と認定された山中竹春市長の進退をめぐり、横浜市政はいま、重大な局面を迎えています。
8月14日、自民党・公明党・立憲民主党の市議会3会派は、山中市長に対し辞職を求める申し入れを行いました。
私たち自民党市会議員団の一員として、この問題の本質と、今後とるべき筋道、そして市長の対応が議会と市民に与える影響について、ここに改めて整理してお伝えします。
1.これまでの経緯
事の発端は、市の幹部職員による市長への告発でした。
繰り返された暴言等について、弁護士による第三者調査委員会が調査を行い、7月30日、告発内容の大部分を事実と認定し、市長に「看過できない重大なパワハラ行為があった」とする報告書を公表しました。
これを受けて市長は、自らのパワハラ認定について「自らが乱した問題を自ら正す」として、続投の意思を表明しました。
8月13日には市議会で市長への質疑が行われ、市長は謝罪を繰り返しながらも「信頼を回復する時間をいただけないか」と続投の意思に変わりはありませんでした。しかし、議会の空気は明確でした。信頼はすでに失われている。その翌14日、自公立3会派による辞職の申し入れに至ったのです。
2.市長の対応の問題点——「市民ではなく、支援者が先」
この申し入れに対し、山中市長が口にしたのは「まず後援会に一連の経過を説明する機会を作りたい」「支援者の意見を聞いてから判断したい」という言葉でした。
議会が、市民の代表たる議員によって構成される3会派の総意として辞職を求めたのに対し、市長が最初に向き合おうとしたのは市民ではなく、議会でもなく、自分の支援者でした。
さらに、発表のタイミングは、8月28日(金)に予定されている山中竹春後援会の報告会が想定されています。
つまり、重大なパワハラが認定された市長が自らの進退を公表する場として選んだのは、市民の前ではなく、自身の後援会の会場なのです。
この一事に、現在の山中市政の本質が表れていると言わざるを得ません。
判断の基準は市民か、それとも支援者か。市長の答えは明らかです。
3.時間稼ぎが議会にもたらすもの
問題は、対応の姿勢だけではありません。
この引き延ばしが、議会と市民に実害をもたらします。
仮に8月14日の申し入れの段階で辞職を決断していれば、議会は直ちに臨時会を開き、欠員の発生から50日以内とされる出直し選挙を9月中旬頃に実施することも可能でした。
そうすれば、9月9日(水)開会の第3回定例会——いわゆる決算議会——への影響を最小限に抑えることができたのです。
ところが8月28日まで引っ張れば、出直し選挙の日程は決算審査の時期と重なり、定例会は市長不在のまま進行せざるを得なくなります。
補正予算、決算、市政の重要課題に関する審議——議会が本来果たすべき役割が、市長の都合によって歪められるのです。
辞職が遅くなればなるほど、議会のスケジュールに皺寄せがいく。
そしてそのツケは、巡り巡って市民に回ります。この責任はすべて、決断を先送りした市長本人にあります。
4.今後の筋道——二つのシナリオ
市長の対応によって、今後の展開は二つに分かれます。
【辞職を表明する場合】
速やかに議会に退職の届け出を行い、9月9日の定例会開会前に臨時会を開催して承認する。
これが議会への影響を最小化する、唯一の筋道です。議会は市長の辞職を妨げません。
求められれば直ちに臨時会を開く用意があります。
【続投を表明する場合】
我々は不信任決議案の提出に踏み切らざるを得ません。
不信任決議が可決されれば、市長は通知を受けた日から10日以内に「議会の解散」か「失職」の二者択一を迫られることになります。
ここで冷静に考えていただきたい。結局辞めるのであれば、不信任決議案を出させる意味はありません。
つまり、続投を表明した時点で、それは議会解散の道を選ぶことを意味します。
定数86の議員一人ひとりが市民から負託を受けて議席を得ている議会を、自らの進退の巻き添えにする覚悟があるのか。
市長には、その自覚を厳しく問いたい。
5.おわりに——市長が聞くべき声
パワハラを認定され、議会の信を失い、なお市長の席に座り続ける理由を、山中市長は誰に、どう説明するのでしょうか。
市長が聞くべきは、支援者の声ではありません。市民の声です。
8月14日の辞職であれば9月中旬の選挙も可能で、議会への影響は最小限で済みました。
それを「支援者の意見を聞く」と引き延ばし、発表の場を後援会の報告会とする。
市民不在の時間稼ぎの結果、議会に皺寄せがいき、そのツケは市民に回る。
私たち議会にできることは、筋を通し続けることです。
辞職を表明するなら速やかな手続きに応じ、続投を表明するなら不信任決議という議会の権能をもって臨む。
いずれにしても、市民の負託に応える議会運営を、私は最後まで貫きます。
横浜の市政を、市民の手に取り戻す。そのために、今後も議会での活動と情報発信を続けてまいります。
(本稿は2026年8月19日時点の報道・公表情報に基づくものです。今後の情勢により内容を更新する場合があります)

横浜市会議員:しらい亮次