令和5年

建設業の働き方改革

働く方の健康を守るために

令和6年4月1日から、建設業などにおいて、働く方の健康を守るために「時間外労働の上限規制」が適用されました。原則、時間外労働を月45時間以内、年360時間以内に抑える必要があり、これを守らないと6ヶ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金が科せられます。

建設業が長時間労働になってしまう背景には、工事の発注者との関係から、できるだけ短い期間で工事を完了させるよう求められるケースがあります。長時間労働が続くと離職率が向上し、建設業に就職する方が少なくなります。ただでさえ、人手不足が続いている建設業界なので、このままでは業界そのものが成り立たなくなってしまいます。

工事の発注は、民間だけでなく、行政からの発注も多く占めています。本市発注の公共工事においても、年度末は休日出勤が必要なほど作業が集中し、現状では残業規制を守れないという声がある一方で、逆に、年度初めは仕事がないので、施工時期を平準化して欲しいという声も多く聞いています。公共工事の施工時期を平準化していくためには、発注者である横浜市が、発注サイクルの大幅なシフトなど大胆な改革を進める必要があります。

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公共工事の平準化

公共工事の平準化に関しては、年度末の工事を減らし、4〜6月期の工事件数を増やすことが重要なため、4〜6月期の工事平均稼働件数を当年度の工事平均稼働件数で割った「平準化率」が指標とされております。
横浜市は本市発注工事における平準化率を政策指標として設定し、令和7年度の平準化率を0.80としていますが、データが出せる令和4年度の実績値は0.68なので0.80まではもう一歩というところです。
そこで、もっと平準化率を向上させるために、以前からよこはま自民党が求めてきたのは債務負担行為を利用しての平準化の推進です。

※債務負担行為:予算は単一年度で完結するのが原則ですが、1つの事業や事務が単年度で終了せずに後の年度においても「負担=支出」をしなければならない場合には、あらかじめ後の年度の債務を約束することを予算で決めておきます。 これを債務負担行為といいます。

債務負担行為を利用することで、単年度で終わらせるために無理に工事を年度末に詰め込む必要がなくなり、4〜6月を利用した余裕を持った工期の設定をすることができます。その行為自体は一見簡単そうに見えますが、事業を単年度で終わらせず、次年度に跨がせることに関して行政は相当なアレルギーを持っていました。ただ、それでも諦めず、一丸となって様々な角度から訴え続けてきた結果、「予算は単一年度で完結するのが原則」というマインドに柔軟性を持たせることができました。

公園整備工事の平準化について議論

私としても、昨年の決算第二特別委員会での財政局への質問や、私が所属している温暖化対策・環境創造・資源循環委員会において、事あるごとに提言をしてきました。その中の一つとして、令和6年2月16日に開催された委員会では、公園整備工事の平準化について議論をさせていただきました。公園整備工事の中には、野球場など、スポーツができる公園の夜間照明の工事が含まれておりますが、夜間照明整備の工事は利用者が少ないオフシーズンに終えたいということで、1月〜3月を利用した工期とすることが慣習となっていました。
毎年、問題なく工事を終えられていれば問題ないのですが、年度内に工事を終えられず、予算を次年度に持ち越す対応(繰越明許費)が頻繁に行われていたことがわかっています。
本来であれば、もっと工事を前倒しするか、債務負担行為を利用して、余裕を持った工期設定をする必要があります。しかし、慣習というのは本当に怖いもので、今日に至るまで改善されずに来てしまいました。こうした慣習は、利用者に負担をかけたくないという行政の意識が反映された結果です。ただ、今後、建設業の働き方改革を進めるためには、利用者(市民)へ理解を促すことも大切だと考えます。
今回の質問に対し、当局からは、「今後はスポーツのシーズンに被ったとしても、利用者に理解を促しながら出来るだけ前倒しを行なって、平準化に取り組んでいく」との答弁をいただいておりますので、引き続きしっかりと対応がされているか追い続けたいと思います。
長々と失礼しましたが、最後に、慣習や縦割りを打ち破るのは政治家としての重要な仕事だと、工期の平準化に取り組む中で改めて学ばせていただきました。
働き方改革を進めることはとても大切です。しかし、どこかに必ず皺寄せがいきます。そうした現実もしっかりと受け止めながら、また、働き方改革自体が業界の邪魔になっていないかを分析しながら今後も寄り添ってまいります。

▼令和6年2月16日(金)温暖化対策・環境創造・資源循環委員会(環境創造局)
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