令和8年度

⑥ 令和8年第1回市会定例会【DXを活用した介護予防】答弁

会議日:令和8年3月2日
( 予算特別委員会( 健康福祉局 ) )

DXを活用した介護予防

しらい亮次

次に、DXを活用した介護予防について伺います。

社会保障費の増大は、改めて申し上げるまでもなく、我が国全体における大きな課題となっています。急速に高齢化が進展する中、とりわけ介護分野における給付費増加が懸念されています。

本市においても、65歳以上の第1号被保険者数は約95万人に達しており、例外ではないと考えます。

そこで、本市における直近3年間の介護給付費の推移について高齢健康福祉部長に伺います。

高齢健康福祉部長

本市における直近3年間の介護給付費の推移ですが、令和4年度が約2,982億円、令和5年度が約3,114億円、令和6年度が約3,246億円と増加傾向となっています。

しらい亮次

介護保険財政の持続可能性を確保するためにも、給付費の動向を適切に把握し、必要な対策を講じていくことが重要です。
 本市では、2040年には高齢者人口が約120万人に達し、市内人口の3人に1人が高齢者になると見込まれています。それに伴い、要介護認定を受ける高齢者も増加することが想定されます。

高齢者お一人おひとりのためにも、できるだけ長く元気に、自立して暮らし続けられるよう支援することが、今後ますます重要になっていきます。

そこで、横浜市の介護予防の取組について高齢健康福祉部長に伺います。

高齢健康福祉部長

本市では、フレイル予防の行動を促す普及啓発に加え、身近な地域で自主的に介護予防に取り組む「元気づくりステーション」の活動を支援しています。さらに、シニア世代のスキルを活かし企業等とつなぐ「シニア・生きがいマッチング事業」や、通いの場に参加することでポイントを付与する「社会参加ポイント事業」を行っています。この他にもデータで把握したフレイルの高リスク者への支援など、多角的に介護予防を推進しています。

しらい亮次

増加する高齢者に対してはより効率的・効果的な介護予防の仕組みも必要です。

画像をご覧ください。

しらい亮次

例えば、ある民間企業では、生活動線上に設置した定点カメラを活用し、歩行速度や歩幅、脚の上がり方、ふらつき、姿勢などを自動計測し、フレイルの兆候を早期に把握するAIを開発しています。こうした技術は、健診未受診者や通いの場に参加しない層など、従来の施策では把握が難しかった“潜在的リスク層”を日常の中で捉えることができ、介護予防の構造的な弱点を補う可能性を持っています。

現時点では、公的な施設での実証は行われていません。しかし、だからこそ横浜市が先導して実証フィールドを提供し、技術の有効性を検証することは、先進自治体としての姿勢を示す重要な一歩です。

さらに、社会保障費の急増という現実を直視すれば、DXを活用した介護予防は“選択肢”ではなく“必須の政策”です。国全体の社会保障費は130兆円を超え、75歳以上人口の増加に伴い医療・介護費は今後さらに加速度的に膨らみます。特に75歳以上では1人当たりの医療費・介護費が急増し、自治体財政にとっても極めて大きな負担となっています。フレイルの進行を半年遅らせるだけでも、要介護1〜2の給付費(年間100〜150万円)を大幅に抑制できる可能性があり、100名規模でも数千万円単位の財政効果が見込まれます。つまり、早期発見・早期介入を実現するDXは、市民の健康を守る施策であると同時に、横浜市の財政を守る施策でもあるということです。

加えて、こうした先端技術は、単なる福祉施策にとどまらず、横浜からユニコーンクラスの企業を生み出す可能性を秘めた成長分野でもあります。高齢化は日本だけでなく世界共通の課題であり、フレイル予防や転倒予測といった“生活動線データを活用したヘルスケアAI”は、国際的にも巨大な市場が見込まれています。横浜市が実証フィールドを提供し、技術の社会実装を後押しすることは、地域経済の活性化や新産業創出にもつながり、都市としての競争力を高める戦略的な投資と言えます。

市営住宅では住まいに“自立支援機能”を組み込むことで孤立リスクの高い層にも静かにアプローチでき、地域ケアプラザでは既存の介護予防プログラムをデータで補完し、継続参加を促す効果も期待できます。行政が主体的に民間技術の社会実装を後押しすることで、横浜市は全国に先駆けて“生活空間を基盤としたデータ駆動型の介護予防モデル”を構築し、同時に新たな産業エコシステムを育てることができます。

高齢化が加速する中、従来の枠組みだけではフレイルの進行を十分に食い止められないことは明らかであり、生活の中で客観的な機能低下を捉える仕組みを整えることは、もはや避けて通れない政策判断です。市民の自立期間の延伸、社会保障費の適正化、そして新産業創出という三つの価値を同時に実現するためにも、DXを活用した介護予防の推進は極めて重要だと考えます。

そこで、DXを活用した介護予防を推進すべき、と考えますが、健康福祉局長の見解を伺います。

健康福祉局長

ただいま先生の方からご紹介がありました事例であったり、お考えについて大変興味を持って伺わせていただきました。介護予防を推進するうえでは、ご指摘の通りお一人おひとりの健康状態に合わせた支援に向けて、DXを効果的に活用することは欠かせませんし、実際にそういった動きが進んでいることは承知しています。介護予防分野におけるデジタル技術の活用の可能性については、横浜市ではないですが、他自治体や民間企業が連携し、AI分析などを介護予防に活かすための検証が進められています。そういった成果を注目しつつ、本市としても、取組状況であったり、学術的な有効性の検証結果などを踏まえ、動向を高い関心をもって注視していきたいと思います。いい事例があれば今後横浜市でも積極的に導入できるように検討を進めていきたいと思います。

しらい亮次

より一層介護予防の取組が推進され、介護給付費をはじめとした社会保障費の抑制につながることを期待して、次の質問に移ります。

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