令和6年度

④ 令和6年度予算第二特別委員会【下水道分野における国際協力と企業支援】答弁

会議日:令和6年3月3日
( 予算第二特別委員会( 環境創造局 ) )

下水道分野における国際協力と企業支援 【下水道事業マネジメント課】

しらい亮次

次に、下水道分野における国際協力と企業支援について伺います。

昨年12月に、ベトナム国ハノイ市における下水道分野の国際事業に関連した取組等を視察する機会を得ました。現地での知見を踏まえて、下水道分野における国際事業についていくつか質問をさせていただきます。

環境創造局では、10年余りにわたって続けてきたハノイ市に対するJICA草の根技術協力事業を、令和4年12月のクロージングセミナーをもって終了しましたが、その活動を通じて非常に強い相互の信頼関係を構築できたということを、ハノイ市建設局の職員から直接伺うことができました。

しらい亮次

そこで、

(1)ハノイ市に対するJICA草の根技術協力事業の目的と活動内容、その成果について下水道計画調整部長に伺います。

下水道計
画調整部長

JICA草の根技術協力事業は、ハノイ市における下水道技術の普及と能力開発を目的に、ハノイ市職員との直接対話やWEB会議などを通じて協議を重ね、特に重要な施策について取り組んできました。

具体的には、
・「下水処理場の維持管理」では、「水質試験マニュアル」の策定等、
・「汚泥処理」では、汚泥焼却による減量化と資源化に関する計画の策定等、
・「浸水対策」では、下水道台帳のシステム化等
が成果としてあげられます。

しらい亮次

ハノイ市の下水道事業を支える技術について支援を行い、今後の水環境改善へ向けた様々な計画も提案できたことは非常に良い取組だと感じました。

しらい亮次

視察で訪れたベイ・マウ下水処理場では、JICA草の根技術協力事業で策定された水質試験マニュアルを活用して処理施設の適正な運転管理につなげているとの説明を受けました。私も実際の現場において活用されている様子を拝見し、技術支援先の状況に寄り添うJICA草の根技術協力事業は、新興国への技術支援として非常に良い手法であると改めて感じることができました。

しらい亮次

そこで、

(2)JICA草の根技術協力事業を活用して国際技術支援を行ったことに対する所感を局長に伺います。

局長

本市の優れた技術を活用できるJICA草の根技術協力事業では、両都市の職員が多くの議論を交わしながら、現場に即したマニュアルの策定などを通じ、ハノイ市の多くの課題解決につなげることができました。

また、ハノイ市職員の技術力の向上に加え、本市職員にとっても本市が持つ技術力を再確認し、ハノイ市に展開することで人材育成にもつながりました。さらに、現地では成果を活用した下水道事業が展開されています。

このようなことから、両都市間の信頼関係がパートナー都市にふさわしい良好で息の長い関係性に発展したと確信しており、この活動を通じて多くのメリットがあったと考えています。

しらい亮次

現地で聞いたエピソードとして、ハノイ市ではその水質試験マニュアルが他の処理場に水平展開されるなど、非常に信頼性の高い成果として着実にハノイ市に根付いていることを確認でき、うれしく思いました。

しらい亮次

ハノイ市において下水処理が適正化し、下水道普及率が向上することは喜ばしいことですが、下水汚泥の発生量も同時に増加します。私は今回の視察で、下水汚泥が何の処理もされないまま、ドバドバと河川の浚渫土(しゅんせつど)と混合されて広大な池に直接投棄されている不衛生な状況を目の当たりにし、非常に大きな衝撃を受けました。少し蛇足ですが、ここは数年もするとパンパンになって使えなくなってしまうので、跡地利用として高級マンションが検討されています。こういったことからも現地の下水処理への意識の低さが窺えます。

しらい亮次

そこで、

(3)ハノイ市における汚泥処理計画の実現へ向けた今後の取組について局長に伺います。

局長

現在、ベトナム国では、新たな下水道法案の策定がJICA技術プロジェクトの支援で進められており、本市は同プロジェクトにおけるアドバイザーとして参画しています。汚泥処理が下水道法案の中にしっかりと規定され、JICA草の根技術協力事業でまとめた汚泥処理計画が確実に実行されるよう、引き続きJICAや国土交通省等とともに取り組んでいきたいと考えています。

また、汚泥処理の導入に向けた横浜水ビジネス協議会会員企業の技術紹介なども並行して進めており、新たな下水道法施行後に、速やかにビジネスマッチングに移行できるよう準備を進めていきたいと考えています。

しらい亮次

民間企業の技術も活用しつつ、多様なチャンネルへの働きかけを行っているのは非常に良い取組だと思います。新下水道法の制定に合わせて、新たなビジネスチャンスにつなげていけると理想的だと思います。

また、国の実施するODA事業なども重要なビジネスチャンスとなります。現在、JICA草の根技術協力事業がきっかけで横浜水ビジネス協議会会員企業が受注した、ハノイ市内最大規模となるエンサ下水処理場がODA事業で整備されており、水環境改善の切り札として一日も早い供用開始が期待されているところです。このような大規模処理場の稼働に合わせて、新たなJICA草の根技術協力事業の可能性も含め、今後もハノイ市との情報共有や技術面での相談など関係性を深めることは不可欠ではないかと考えています。

しらい亮次

そこで、

(4)ハノイ市との今後の交流について、局長に伺います。

局長

JICA草の根技術協力事業とこれまでの取組により、ハノイ市とは非常に良好な関係性を構築できていると考えています。

現在、横浜水ビジネス協議会会員企業が施行している、ハノイ市最大となるエンサ下水処理場があり、数年後に稼働予定ですが、稼働した後の運転管理や汚泥処理の導入など、新たに生じる現地の課題やニーズの把握に努めるとともに、JICA等の関係機関と連携しながら、これらの課題解決に資する支援事業に積極的に参画していくことで、ハノイ市との交流を継続し、水環境改善と安全安心なまちづくりに貢献していきたいと考えています。

しらい亮次

引き続き、パートナー都市であるハノイ市との良好な関係性を維持するため、様々な交流の機会を持っていただきたいと思います。

このような行政間の関係性を活用した新興国に対する海外技術支援は、横浜水ビジネス協議会会員企業を中心にODA事業受注や、設備機器購入などの重要な契機となっています。環境創造局では、会員企業の海外展開を後押しするために様々な工夫をこらした取組を行っていると伺いました。

しらい亮次

そこで、

(5)横浜水ビジネス協議会会員企業の海外展開を支援するための主な取組について、下水道計画調整部長に伺います。

下水道計
画調整部長

国が実施する海外展開支援制度や、企業が自ら海外事業を紹介する海外水ビジネスセミナーを開催し、多くの会員企業にご参加いただいています。会員企業間のネットワーキングの場としても活用されています。

そのほか、水道局、会員企業との3者による海外展示会への共同出展や、海外の下水道事業者等に対する会員企業の技術紹介などを通じて、ビジネスマッチングを行っています。

しらい亮次

水ビジネス協議会会員企業の海外展開事業の中でも、とくにビジネスマッチングは直接的な交渉で受注につなげる重要な手段だと思います。

しらい亮次

その中で、相手を特定せず、即決性の高いマッチングを目的とした海外展示会への共同出展は非常に良い取組だと思いました。

首相官邸が主導する経協インフラ戦略会議でも2025年には34兆円のインフラシステムを受注することを目指すことが示されているなど、水ビジネス関連企業にとって大きな市場規模が見込まれており、今後の発展的な市場開発が強く望まれています。

しらい亮次

そこで、

(6)海外水ビジネスに関する今後の取組について局長に伺います。

局長

水ビジネスにおける国際市場の一層の発展性を見据え、横浜水ビジネス協議会会員企業が持つ高い技術力を、様々な機会をとらえて発信していきます。

また、会員企業の迅速な受注につながる海外展示会への出展機会を一層増やしていきます。

さらに、多様化する海外のニーズに対応するために、市内中小企業を中心に水ビジネス協議会会員間の技術連携を一層促し、パッケージ化した技術力を新興国等にアピールすることで、会員企業の海外展開を益々後押ししていきたいと考えています。

しらい亮次

横浜市水ビジネス協議会の様な企業グループにおいても、この大きなチャンスをしっかり享受できるよう横浜市としても更なる後押しが必要だと考えています。
さらに日越の企業グループによる交流が促進されることや、ハノイ市との友好委員会設立も要望します。

最後に、下水道をはじめ市民が安全安心に、衛生的に生活していくためには、都市基盤がしっかりしていることが何より重要ですので、新局に移行しても引き続き、持続的な下水道事業の運営に取り組んでいくことを要望して次の質問に移ります。

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