令和4年度

④ 令和4年度決算特別委員会【委託契約における市内中小企業への優先発注】答弁

会議日:令和5年10月16日
( 決算第二特別委員会( 財政局関係 )

委託契約における市内中小企業への優先発注

しらい亮次

次に、本市の委託契約の状況について伺います。

自民党が率先して、議員提案により横浜市中小企業振興基本条例が平成22年に制定されて13年になります。この間、議会と行政では様々な議論を交わし、施策として取組みを具体化してきました。特に条例第8条には「市内中小企業の受注機会の増大に努めること」が明記されており、市内中小企業への優先発注に注力してきたところです。その中で、今回は、委託契約に焦点をあてて、改めてその状況を確認していきたいと思います。
そこで、まず、条例制定前の

(1)平成21年度の委託契約における市内中小企業の契約件数及び金額とその割合について、契約部長に伺います。

契約部長

平成21年度の、委託契約における市内中小企業の契約件数は、10,607件で全体に占める割合は、77.3%です。また、契約金額は、227億2千8百万円、全体に占める割合は、67.8%です。

しらい亮次

それでは、つづいて、

(2)令和4年度の委託契約における市内中小企業の契約件数及び金額とその割合について、契約部長に伺います。

契約部長

令和4年度の、委託契約における市内中小企業の契約件数は、9,262件で全体に占める割合は、88.0% です。また、契約金額は、370億8百万円、全体に占める割合は、68.6%です。

しらい亮次

委託契約の件数が減少傾向にあるなかでも、割合は約10ポイント伸びていることがわかります。また、割合こそ変わりませんが、委託契約の金額は大きく伸びています。
それでは、改めて

(3)横浜市中小企業振興基本条例制定の効果について、財政局長に伺います。

局長

条例の制定を契機に、発注に際しては、一定金額以下の一般競争入札において参加資格を市内中小企業に限定しているほか、事業者選定において市内中小企業の選定状況を必ず確認するなどの取組を進めてまいりました。

市内中小企業への優先発注を徹底した結果が、先ほどの数字にも表れており、条例の制定は、市内経済の中核をなす中小企業の振興に寄与していると考えています。

しらい亮次

条例の制定により、具体的な成果が表れていることは、大いに評価ができますが、

市内中小企業への優先発注を徹底した結果、市外の企業が、横浜に進出する事例が見られます。新たに拠点を横浜に移し、税金を納め、従業員を雇用することは喜ばしいことですが、ある委託契約では、市外に本店のある企業が、横浜支店を分社化し、新たに「市内中小企業」となり入札に参加した結果、以前から地域で営業していた企業を押さえ、落札するといった事例がありました。

企業実態は変わらないものの、看板を替えることにより、これまで地域に根ざし貢献してきた企業と同様の優遇を受けることには、違和感を覚えます。
そこで

(4)看板替えによる市内中小企業への転換に対する懸念について、局長に伺います。

局長

委員がご指摘の入札参加機会を増やすことを目的に、登記を市内に変更するケースがあることは認識をしています。

新たに市内企業になるケースとしては、企業分割のほか、市外からの移転やスタートアップ企業の設立など、様々な形態があり、線引きが大変難しいところです。

地域に貢献している市内中小企業を適正に評価することは重要であると考えますので、引き続き対応を検討してまいりたいと思っています。

しらい亮次

看板替えの企業が優遇されることにより、従来から地域に根差して市内経済を支えて来た市内中小企業が苦しむようになることは、条例の趣旨にそぐわないと思います。
条例制定から10年以上が経ち、社会も変化をする中で、時代に即した改変を行う必要があるかもしれません。

しらい亮次

せっかくなので、ここで、今話題に上げた看板替えの企業の件を、もう少し掘り下げていきたいと思います。先ほど、ある看板替えの企業が、地元の企業を押さえて落札したと申し上げましたが、地元の企業は10年ほどその委託業務に関わり、特に業務に問題があったわけではないのに、総合評価落札方式の発注局があらかじめ決めた業務点の項目によって、評価が低いと判断され、2億円も入札価格が安いにも関わらず看板替えの企業に負けてしまっています。これは、あらかじめ入札価格と業務点のバランスが業務に寄りすぎているのが原因ですが、市民感覚からすれば、業務を特に問題なくやってくれていた企業が、10年間の長年の経験を活かし、適正な相場観で入札価格を決め、入札したところ、業務点の項目によって2億円入札価格が高い企業が選ばれてしまうというのはどうなんだろうと思います。

しらい亮次

各区の自主企画事業の予算が大体1億円ということを考えると、この2億円を使えれば、もっと区の政策を充実させれたんじゃないだろうかと思ってしまったところです。

正直、市民に対しての説明に窮するところであります。
そこで、

(5)適正価格内において入札価格を押さえた企業努力への評価について、局長に伺います。

局長

総合評価落札方式については、入札価格に加えて、業務の質の確保に求められる実績や履行能力などの評価を行い、落札者を決定する方式です。

適正な履行や労働条件を確保できる入札価格であることが前提ではございますが、市民の皆様からお預かりした税金を使用し、契約の締結を行うという意味からも、価格面での企業努力についても、しっかりと評価をする必要があり、重要な要素と考えておりまして、今回20億円くらいの契約の中で2億円の価格差でしたが、そういった点についても評価基準の中でどう評価していくか今後検討していきたいと思います。

しらい亮次

本市の事業は多岐にわたり、事業に伴う委託契約は千差万別です。総合評価落札方式を採用する案件においても、業務を重視すべきものもあれば、価格を重視すべきものもあると思います。
そこで、

(6)個々の委託内容や履行状況を踏まえて評価を行うべきと考えますが、副市長の見解を伺います。

副市長

ご指摘のとおり、総合評価落札方式における評価基準は、個々の委託内容に応じて事業者に求める実績、履行能力、提案事項などを検討し、価格及びその他の条件を慎重に定めることが重要であると考えています。

評価基準を定める際には、地方自治法施行令に基づき学識経験者から意見聴取を行うことが義務付けられているため、そのような場も活用しながら、案件に応じた評価基準を適切に設定することが必要だと考えております。

しらい亮次

入札契約手続きは、画一的に行うものではなく、個々の状況に応じたバランスが求められていると思います。

先の質疑で言及したように、本市の発展に貢献してきた市内中小企業を適正に評価していただくとともに、しっかりと市民への説明責任が果たせるよう、個々の条件に応じた入札契約手続きを行なっていただくように要望して、次の質問に移ります。

次の質問は、財政広報です。
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